展覧会情報
第128回 下谷二助展:人じん
1997年01月10日(金)~01月31日(金)
こんな風に、すでに30年以上も絵を描き続けているのだが、いまだに自身でなにを描こうとしているのかさえ判ってこない。実験者としての視点、実生活者としての利点、いろんな点が交錯しながら、果たして焦点と結びそうで結ばず、自分の輪郭はどこまでも不確かなままなのです。そんな風に、結実という事実すら忘れてしまったような私が、幻像として刹那結実したというのが、この展覧会だったような気がする。と、再び混沌の日々のなかに余儀なく有りながら思うことなのです。という風に、完結点のない虚しい連関運動こそが、じつは諧謔のイメージを生みつづける、ひそかな永久機関なのかも知れないと、真空空間のなかの風車のごとく、止むことを恐れながら、回転しつづけながら、考え、考え、考えつづけているのです。 下谷二助