「楽しいコトをやろう！」のかけ声で、3人のグラフィックデザイナーが集まった。もちろん、日頃それぞれ独自の思考や方法論で表現をしている3人にとって、共通の「楽しいコト」なんてそう簡単には見つからない。そんななかで見つけたテーマは「ファッション」。日常生活と密着していながら、仕事では三者がみな等距離にあるものである。生駒芳子さんの協力を得て、ファッションデザイナー荒川眞一郎・津村耕佑の両氏とのコラボレーションが実現した。この新作発表で、あわよくば、個々には異なった表現をしていても、そこに共通のメッセージが出せるのではないかと、秘かに私は考えていた。しかし、その結果は三人三様であった。この不調和こそ、摩擦熱を発生し、互いに影響力をもつものだったのではないか。その不調和の微々たるエネルギーが、今回の展覧会で発表できた共通のメッセージなのである。 秋田　寛