展覧会情報

第159回 矢萩喜従郎展

1999年08月05日(木)~08月28日(土)

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今、わたしがそれを見ているという、ごくありふれた日常の行為を取り上げても、見ることの仕組みに一度踏み込めば、一筋縄ではいかない視覚世界の不可思議な謎と深淵が浮き彫りになる。けれどもわたしは、たとえかなえられないとしても、その紐解きを求めて、次々に立ち上がってくる関心に敢えて身をまかせようと思う。我々の網膜が新しい像を求め続ける特性があることのみならず、事物の把握が、事物の一点にとどまることが出来ない、つまり眼震という微少眼球運動の集積によってもたらされていることを知ったことは驚きだった。視覚による事物の把握が、厳密に言えば、視覚によって記憶された映像を集積させることによって、全体像を把握していることとは、何と刺激的な世界が含まれているのだろうかと思わずにいられない。 矢萩喜従郎