展覧会情報
第145回 山本容子展 Opera Lesson
1998年06月04日(木)~06月27日(土)
この展覧会を「オペラレッスン」と名づけたのは、展示空間を「音の聴こえる場所」にしたかったからだ。地階は、以前ラスコーの洞窟壁画を見た時の経験をもとにして、薄暗い空間に、12名の作曲家の肖像を展示した。目を凝らしてやっと見ることの出来る線は、イメージをどのようにして見る側に伝えてくれただろうか。私の体験では、洞窟の中では何かを聴いたような気がしたから。もう一つの空間である1階では、大理石の床を木製の舞台に変えた。作品はすべて舞台上に配置し、見る側はギシギシと音の鳴る床を踏みながら鑑賞してもらった。舞台の前には10メートルの幕をおろし、左右の幕の隙間から舞台に上るという仕掛けも作った。足元から不安定になると、見るという行為は、より注意深くなっただろうか。音楽をテーマにした版画から音が聴こえただろうか。 山本容子