展覧会のお話をいただいた時、それは、開催のほぼ2年前の事でした。僕にとって、2年という時間は、あまりにも永く、嬉しさよりも戸惑いの方が強く感じました。しかし、約4ヶ月後、ロンドンで10人程の同業者と話をする中、一瞬にして、テーマや仕上がり感が見えました。多種に渡る印刷と独白。展示は一点もので、同名の本を作り、大量生産する事により、本来のグラフィックデザインの土俵にあげようと思いつきました。しかし、そこからが永い道のりでした。最も佳境な時に足首を骨折してしまったり。思い悩みつつ、作っては壊しを繰り返し創作し続けました。正直あらゆる意味で出し尽くしました。それでも、展示が始まるまで確信が持てませんでした。オープン初日。信じられない程の評価を戴き、心の中で号泣しました。それは、新しいスタート地点に立てた喜びだったのです。 中島英樹