展覧会情報

第4回 アメリカ版画の現在地点:タイラーグラフィックス・アーカイヴコレクション展 Vol.1

1996年03月01日(金)~04月13日(土)

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現代美術の世界で版画について語るとき、1960年代初頭におけるジャスパー・ジョーンズやロバート・ラウシェンバーグ、アンディーウォーホルやロイ・リキテンスタインらの功績がきわめて大きなものであったことは周知の事実です。彼らは印刷技術のもつ匿名性に着目し、現代社会のさまざまなアイコンを即物的に画面に取り込むための手段として版画制作を行い、数々の名作を残しました。そして同時に、アメリカで当時設立されたばかりの新しい版画工房が、彼らのこうした制作活動を支えたということも忘れることはできません。とくにケネス・タイラーは、自ら設立した版画工房ジェミナイG.E.Lを舞台に60年代における版画の隆盛の屋台骨を支えたプリンターとして、きわめて重要な存在でした。
アメリカにおける版画制作はその後、技法や規模、そしてマーケットの面でかつてないほど拡張をつづけ、そこでもタイラーは中心的な役割を演じました。彼がジェミナイに続いて設立した版画工房タイラーグラフィックスは、新たな素材や技術の開発によって版画表現の可能性を追求し、版画制作を、従来のアルチザン的な性格から複雑で大規模なプロジェクトへと変化させていったのです。
本展は、CCGA所蔵のタイラーグラフィックス・アーカイヴコレクションから、デイヴィッド・サーレの「ハイ・アンド・ロウ・シリーズ」(1995)やフランク・ステラの「イマジナリー・プレイシズ」(1994)など、15名の作家による計30点の版画作品を展示し、ポップアート以降のアメリカ版画の歩みとその今日の姿を明らかにするとともに、現代版画の多彩な表現の展開を検証しました。

出品作家

エド・ベイナード
ヘレン・フランケンサーラー
ナンシー・グレイヴス
マイケル・ハイザー
エルズワース・ケリー
テレンス・ラ・ヌー
ジョアン・ミッチェル
ジョン・ニューマン
ケネス・ノーランド
ジェームズ・ローゼンクイスト
デイヴィッド・サーレ
リチャード・スミス
スティーヴン・ソーマン
フランク・ステラ
ロバート・ラーウェイ・ザカニッチ