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第23回 藤本由紀夫:四次元の読書

2001年08月04日(土)~10月13日(土)

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藤本由紀夫は、人間の知覚に関する問題を主なテーマに制作してきた作家です。1970年代に電子音楽の分野で出発した彼は、80年代半ばからサウンド・オブジェなどを中心に、視覚や嗅覚なども含めた五感全般を利用した数々の作品を通して、知覚の仕組みや、作品が伝える情報をわたしたちがどのように受容するかという問題について、示唆に富む仕事を続けてきました。
本展のテーマに藤本は「読書」という言葉を掲げましたが、ここでいう読書とは、字義通りの本を読む行為ではなく、たとえば宗教画や寺院建築が経典の内容を伝える書物の役割も担っていたように、人間が生み出す知的創造物全般を書物と捉え、それらを体験する行為のことを指します。
展覧会には、マルセル・デュシャンや稲垣足穂といった古今束西の文芸および美術作品を題材にした、さまざまな知覚手段を通した複合的な体験をもたらす作品が展示され、藤本の考える新たな書物と読書の可能性が提示されました。五感や想像力を駆使した読書体験は、情報伝達の形態が大きな変革をとげた現代における「書物」との関わり方について、われわれに考えさせる機会になりました。

サウンド・パフォーマンス

出演:藤本由紀夫(サウンド・アーティスト)
2001年9月8日