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第60回 現代版画とリトグラフ:タイラーグラフィックス・アーカイブコレクション展 Vol. 25

2013年06月15日(土)~09月08日(日)

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 浮世絵や学校での図工の授業を通して木版画に親しんできた私たちにとって、版画といえば彫刻刀で版に絵柄を「彫る」ことを思い浮かべがちです。しかしリトグラフは、版を彫る、すなわち凹凸をつけるということをせず、平らなままの版の表面に絵柄を「描く」技法です。
リトグラフでは、版の上でインクが載る絵柄の部分とインクの載らない余白部を、水と油が反発しあう性質を利用して化学的に作り出すことで製版します。油性のクレヨンやインクを使って、紙やキャンバスに直接描くのに近い感覚で版に描画できるのが大きな特徴です。また、写真製版を用いてイメージを転写することも可能です。
リトグラフはもともと工業的な印刷技術として考案されましたが、版の上で自由にイメージを作ることができ、絵画的な画面を実現できるこの技法はアーティストたちを魅了し、美術作品としてのリトグラフが数多く生み出されることになりました。
現代版画の世界でも、リトグラフは主流の技法のひとつとして多用されています。とくに、画家や彫刻家が版画工房とのコラボレーションによって作品を制作する、というスタイルがとられることの多いアメリカでは、ペインティングやドローイングに近い感覚でイメージを描くことのできる点が、多くの作家を版画制作に向かわせることになりました。たとえばロバート・マザウェルやヘレン・フランケンサーラーは彼らの絵画の特徴である即興的な色面を、リトグラフによって版画というメディアに翻訳することに成功していますし、デイヴィッド・ホックニーはその天性ともいえる描写力を、リトグラフでも余すことなく発揮しています。
本展では、CCGA所蔵のタイラーグラフィックス・アーカイブコレクションにより、現代版画におけるリトグラフの展開をご覧いただきます。本展がこの技法を身近に感じ、魅力を発見する機会となれば幸いです。

会場

CCGA現代グラフィックアートセンター
〒962-0711 福島県須賀川市塩田宮田1
Tel. 0248-79-4811 Fax. 0248-79-4816

開館時間

午前10:00~午後5:00(入館は午後4:45まで)

休館日

月曜日(7月15日を除く)、7月16日(火)
会期前6月10日(月)-14日(金)および会期後9月9日(月)-13日(金)は展示替え休館となります。

入館料

一般=300円/学生=200円
小学生以下と65才以上、および障がい者手帳をお持ちの方は無料

主催

財団法人DNP文化振興財団/CCGA現代グラフィックアートセンター