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展覧会情報

京都dddギャラリー第215回企画展 ウィム・クロウエル グリッドに魅せられて

2017年12月14日(木)~03月17日(土)

designed by Wim Crouwel in cooperation with Helmut Schmid
designed by Wim Crouwel in cooperation with Helmut Schmid
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本展はオランダのグラフィックデザイナー、ウィム・クロウエルの業績の全容を伝える日本初の展覧会です。クロウエル(1928年-)は、1952年に展覧会を手掛けるデザイナーとして出発しましたが、アムステルダム市立美術館のグラフィックデザイナー(1963-1984年)としての仕事が最も著名と言えるでしょう。
また、実験的なコンピューター・アルファベット、切手、そしてカレンダーのデザインでも知られており、高く評価されています。1963年、多分野を総合的に扱う大手デザイン会社、トータルデザインの共同設立者となりますが、同社はスイス・モダニズムとコーポレート・アイデンティティをオランダに広めることとなります。クロウエルは教育、執筆、そして講演活動も精力的に行いながら、グラフィックデザイナーとして、グリッドを活用した合理的かつシステマティックなデザインを推進していきました。デザイナーとは、客観的な姿勢を持ってインフォメーションデザインに取り組むべき、と主張する彼の見解は、新たなパラダイムの形成を後押しし、生き生きとしたデザインの風潮を生み出すことにも貢献しました。クロウエルの全業績を顧みると、理論と手法に前例のない次元の詩情と美学を統合させつつ、半世紀にわたって極めて一貫性のある作品づくりを実現し続けてきた証しが浮かび上がってきます。

お知らせ

ギャラリートーク

特別講義 白井敬尚「グリッドシステムの成立とその意味」
2018年2月10日(土)13:00-17:00 ※途中休憩あり
講師: 白井敬尚(グラフィックデザイナー)
会場: 京都dddギャラリー
参加無料、定員40名、要予約
※定員に達しましたので、締め切りました。

ウィム・クロウェルは、デザイン界屈指のグリッドシステムの使い手でした。
そのグリッドシステムは長いブックフォーマットの歴史の中で、どのように成立し機能し位置付けられていったのかーー
550年以上に及ぶタイポグラフィ史を振り返りながら、グリッドシステムの成立とその意味をわかりやすく紐解く特別講義です。

2017年12月14日(木)16:00-17:30
講師: カロリン・フラーゼンブルグ(アムステルダム市立美術館/グラフックデザイン部門キュレーター)
会場: 京都dddギャラリー
参加無料、定員40名 要予約
※終了しました。

2018年3月3日(土)16:00-17:30
講師: ヘルムート・シュミット
会場: 京都dddギャラリー
参加無料、定員40名、要予約
※定員に達しましたので、締め切りました。

特別講義

2017年12月15日(金)17:00-19:00
佐藤 淳(京都造形芸術大学/情報デザイン学科教授
 ウィム・クロウエル: オクタヴォとの4年間
 カロリン・フラーゼンブルグ(アムステルダム市立美術館/グラフィックデザイン部門キュレーター)
 ウィム・クロウエル: アムステルダム市立美術館グラフィックデザインコレクションにおける重要性
会場: 京都造形芸術大学 智勇館 1F ER11-12
参加無料、定員100名、予約不要

オープニングパーティ

2017年12月14日(木)17:30-19:00
会場: 京都dddギャラリー

会場

京都dddギャラリー
開館時間 11:00-19:00 ※土曜日、3月4日(日)は18:00まで
休館:日曜日・祝日、12月28日(木)-1月4日(木) ただし3月4日(日)は特別開館
入場無料
〒616-8533 京都市右京区太秦上刑部町10
TEL:075-871-1480 FAX:075-871-1267
地下鉄東西線 太秦天神川駅1番出口 徒歩3分、嵐電嵐山本線 嵐電天神川駅 徒歩5分
市バス・京都バス 太秦天神川駅前下車
駐車場無

協力・後援

■協力
アムステルダム市立美術館
カロリン・フラーゼンブルグ
ヒレイン・エッシャー・ポスター・コレクション


■後援
オランダ王国大使館

資料

ウィム・クロウエルは(1928年ー)がデザインの手段としてのグリッドに帰依したのは、ごく初期の段階でした。1950年代は、スイスのデザイナーと、彼らの合理的かつミニマリストなアプローチに強く影響を受けていました。本人のキャリアは、第二次世界大戦後の復興期、オランダが工業化された時代と重なっており、見本市用の様々な企業ブースを手がけ、進歩を讃える大規模な展覧会でコラボレーションも行いました。1956年にアイントホーヘンのファン・アッベ市立美術館館長のエディ・デ・ウィルデと出会い、同館のポスターとカタログのデザインを依頼されました。1963年にアムステルダム市立美術館の館長に就任したデ・ウィルデとは、30年間にわたって共に仕事をし続けるに至り、美術館関連の仕事でクロウエルは見事な作品群をつくりあげ、評価を確固たるものにしました。非常に独特な美術の解釈や視覚化を、色彩・抽象的な形・バランスのとれた構成、そして創造力あふれるタイポグラフィを絶妙に駆使して実現したのです。ハウス・スタイルやシステマティックなアプローチを推奨していたものの、クロウエル自身の作品シリーズは実に多様な点が特徴です。

1963年、クロウエルはオランダ初の大規模で多分野型のデザイン事務所、トータルデザインの共同設立者となり、事務所は新境地を切り開き、ハウス・スタイルのための大口の案件を引き寄せ、モダニズムを広めていきました。企業、美術館・博物館、そして行政機関はモダンなたたずまいを得、デザインが認知されるようになります。トータルデザインはシステマティックなアプローチとグリッドの活用で知られ、クロウエルがあらゆる場で自身のヴィジョンを発信し続けたところ、事務所だけでなく、デザイン業界全体の代表者とみなされるようになりました。彼は理性的・分析的なアプローチの擁護者であり、テクロノジーと進歩の信奉者、そしてデザインは独立したプロの職能であると主張し続けました。デザイナーにとどまらず、講演者、ディレクター、オーガナイザー、そしてスポークスマンでもあり、執筆者としてはデザイン理論の思想を通じて業界全体を下支えしようと努め、その結果、オランダのデザイン界のみならず、オランダ文化全体の代表とみられるようになりました。1985年、ロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館館長に就任しました。
グラフィックデザイナーとして、クロウエルは記号、文字、そして形を探り、仕事では常に実験をし続けました。理論面では個人的表現に反対し、まず中立的なアプローチと情報の提供を優先するべきだとしていましたが、実際の作品群は強烈な個性と表現性を特徴としています。彼にとって、システムは出発点となりましたが、その結果生み出された作品は、現在でも大変な視覚的なパワーを発しています。
 

プロフィール

ウィム・クロウエル wim crouwel
1928年11月21日
フローニンゲン生まれ
1946-1949  フローニンゲンの芸術学校 アカデミア・ミネルヴァで学ぶ
1951-1952  アムステルダム芸術アカデミー(IvKNO 現リートフェルト・アカデミー)で学ぶ
1952-1954  デザイン事務所エンダーベルフ勤務、展示や見本市スタンドのデザインに携わる
1956-1960  インテリアデザイナーのコー・リャン・イエとアムステルダムにデザイン事務所を設立する
1963-1980  アムステルダムのデザイン事務所 トータルデザインの共同設立者、パートナーとなる
1980-1982  デルフト工科大学のインダストリアルデザイン学部の講師
1980-1985  トータルデザインのアドバイザー
1982-1985  デルフト工科大学の教授、インダストリアルデザイン学部長
1985-1993  ロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館の館長
1987-1993  ロッテルダムのエラスムス大学の芸術文化学部の寄付基金教授
1994-2010  アムステルダムを拠点にフリーランスのデザイナー