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展覧会情報

京都dddギャラリー第210回企画展 物質性-非物質性 デザイン&イノベーション

2016年09月08日(木)~10月29日(土)

design by Hiroshi TOYAMA / Softpad
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2015年10月-2016年10月まで日本とフランスは共同で「日本フランス・イノベーション年」を開催しています。日本とフランスは革新的な技術と伝統的な知識を織り交ぜ、未来に発信する土壌を兼ね備えているという共通点を有しています。特有の知識の保存やノウハウを、世代を超えて継承する名匠たち、有形・無形の遺産をどのように未来へと繋いでいくのか。フランスの哲学者ジャン=フランソワ・リオタール(1924-1998)がパリのポンピドゥー・センターで1985年に企画した「非物質的なもの」展の30周年を記念し、日仏両サイドから「物質性、非物質性」に焦点を当てる展示内容となっております。
尚、本展覧会はフランス大使館、外務省の認定により公式イベントとして参加しています。
 
 

企画概要

この展覧会では、デザイン・創造・イノベーションを通して物質性と非物質性の観念の可能性を探ってみたい。 とりわけ、多くの意味において創始的で先駆的な芸術イベントでもあった「非物質的なもの(Les Immatériaux)」(ジャン=フランソワ・リオタール監修、パリ、ジョルジュ・ポンピドゥー・センター、1985年)の30周年を記念したオマージュでもある。30年を経た現代の制作と創造の場面において、リオタールが提唱した「脱物質化された物質的なもの」「第二の皮膚」「極薄」といったキーワードの残響はどのように耳にされるだろうか。
 
探求の場面は、次の4つのジャンルに分かれる。
ニューメディア
感覚能力
3Dモデリング
データベース
 
新しいメディアにおいては、観客の立ち位置が問題となる。観客は情報の受容者であると同時に発出者でもあるからだ。観客はイメージに対してこれまでとは別の関係にある。イメージがデジタルでバーチャルなものになっただけではない。デバイスもインタラクティブなものになっている。70年代にパリ第8大学で行われた実験にも立ち戻って考えてみたい。
リオタールの展覧会を継承しつつ来訪者に体験してもらいたいのは、視覚のみではなく触覚・嗅覚・味覚・聴覚を含めた五感すべてに訴える体験である。
3Dモデリングによって多様な変形が可能になっており、実現しうる形やスタイルは著しく多岐にわたるものとなっている。また制作プロセスもよりフレキシブルなものになる可能性が生まれている。
伝統的な形や意匠、文様についてのデジタル・データベースは今日、保存のための媒体としてのみならず、過去のものの復活と再生に資するものとしてどこまで活用できるものとなっているのかを示したい。
バーチャルで「非物質的」な世界とあらたな資材すなわち「物質/ハードウェア」の世界との対峙、過去と未来の対話―技とノウハウの保存と資材の革新―これらのことを通じて、細部や構成、資材が注目されるようになり、また革新的な創造を行う様々な形式が注目されるようになる。 

ミュリエル・ラディック(本展キュレーター)

ギャラリーツアー / オープニングパーティ

■ギャラリーツアー
日時: 2016年9月8日(木) 16:30 – 18:00
ジャン=ルイ・ボワシエ、ミュリエル・ラディック、太刀川瑛弼ほか、
出展作家による作品解説を開催します。
会場: 京都dddギャラリー 入場無料、予約不要

■オープニングパーティ
2016年9月8日(木) 18:00-19:00
会場: 京都dddギャラリー

ニュイ・ブランシュ関連イベント

「ニュイ・ブランシュ(白夜祭)」は、パリ市が毎秋行う一夜限りの現代アートの祭典です。パリの姉妹都市・京都では、今年も日仏の現代アートを楽しめる「ニュイ・ブランシュ KYOTO」を市内各所で開催。京都dddギャラリーでも関連してイベントを開催します。秋の京都での夜のアート散策の前にぜひ京都dddギャラリーにお立ち寄りください。

・日時: 2016年10月1日(土)14:00-16:00
 入場無料、申込不要
14:00頃~ サウンドパフォーマンス by Softpad
14:00頃~ パフォーマンス by fanny TERNO
14:30頃~ ギャラリーツアー by françois AZAMBOURG
15:30頃~ ギャラリートーク by NOSIGNER 太刀川瑛弼

・会場: 京都dddギャラリー

シンポジウムのお知らせ

「日本のプリズムで見た非物質的なもの  Les Immateriaux au prisme du Japon」
日時: 2016年9月9日(金)13:30~18:00
会場: アンスティチュ・フランセ関西
スピーカー(予定)
・ジャン=ルイ・ボワシエ Jean-Louis BOISSIER
 (パリ第8大学名誉教授。メディア・アーティスト、研究者 パリ)
・藤幡 正樹 Masaki FUJIHATA
 (メディア・アーティスト 東京/中継による参加)
・ミュリエル・ラディック Murielle HLADIK
 (キュレータ―、パリ)
・石田 英敬 Hidetaka ISHIDA 
 (東京大学大学院総合文化研究科教授)
・ブノア・ジャケ Benoit JAQUET
 (EFEO、フランス国立極東学院准教授/京都大学客員准教授)
・キム・ヒョンスク Hyeonsuk KIM
 (パリ第8大学)
・大澤 啓 Kei OSAWA 
 (東京大学総合研究博物館)
・小崎 哲哉 Tetsuya OZAKI
 (REAL KYOTO編集長)
入場無料、予約不要、詳しくはホームページをご覧ください。
 http://www.institutfrancais.jp/kansai/
お問合せ アンスティチュ・フランセ関西
 TEL:075-761-2105
主催: LABEX Art H2H
共催: アンスティチュ・フランセ関西、EFEO、公益財団法人DNP文化振興財団
 

出展デザイナープロフィール

■フランソワ・アザンブール (デザイナー パリ)
2003年ヴィラ・メディチの「hors les Murs」賞を受賞し, 2004年にはデザイン・ド・パリで大賞を受賞。2015年にはヴィラ九条山レジデント。フランソワ・アザンブールは世界の多くの見本市にCapellini, Hermès, Poltrona Frau, Ligne Roset およびGalerie Kreoのための家具・照明プロジェクトを出展している。
彼の目ざすシンプルさと明るさは, 流行とは逆のオブジェの世界へと彼を向かわせる。
http://www.azambourg.com/
本展覧会の出展作品は、ヴィラ九条山 滞在時に進められたプロジェクトです。ヴィラ九条山 はアンスティチュ・フランセ日本の5つの支部の1つ で、ベタンクール・シューラー財団とアンスティ チュ・フランセの支援を受けています。

■ジャン=ルイ・ボワシエ (パリ第8大学名誉教授・メディア・アーティスト・研究者 パリ)
1945年, ロリオル・シュール・ドローム生まれ。パリ第8大学コンテンポラリー・アート名誉教授, ニューメディア美学研究主任。サン・ドニ市「Artifices」ビエンナーレ(1990–1996),「Revue virtuelle」(ポンピドゥー・センター, パリ/1991–1996),巡回展「Jouable」(ジュネーブ, 京都, パリ/2002–2004)および「Mobilisable」(2008–2013)などのキュレーターとして活動。彼の双方向インスタレーションは1985年から国際的に展示されている。主たる著書に『La relation comme forme. L’interactivite en art』(Mamco, Genf/2009)がある。
http://jlggb.net/blog/


■藤幡正樹 (メディア・アーティスト 東京)
メディア・アートのパイオニアであり, 80年代にCG作品,その後のコンピュータによる彫刻作品を経て, 90年代には「Beyond Pages(1995–1997)」をはじめとするインタラクティブ作品によって知られている。特に1992年の「生け捕られた速度」から始まり, 2012年の「Voices of Aliveness」へと続く「Field-works」シリーズは, 動画にGPSによる位置情報を付加することで, デジタルによる記録と記憶の新しい可能性,仮想空間と現実空間の連続を可能にした作品群である。最新作『Anarchive n˚6』は, AR技術を用いて実現された藤幡正樹の全作品集として出版されている。
http://www.fujihata.jp/

出展デザイナープロフィール

■マリ=アンジュ・ギユミノ (アーティスト パリ)
Villa Arson卒のマリ=アンジュ・ギユミノは現在パリに住み,活動している。1997年, 作品「Le Salon de transformation」がヴェネツィア・ビエンナーレで評価を得た後, 国際アートシーンで活躍, 広島市現代美術館(2005), 京都芸術センター(2006),ポンピドゥー・センター(パリ/2010), ポアシー, ヴィラ・サヴォア(2012)など。2013年, セーブル・陶芸都市での展覧会「Laps」は彼女の作品全体の回顧展。「はかなさ―瞬間の美」(ニュイ・ブランシュ京都/2014)は彼女の触覚的アート全体を貫く日本文化に培われた時間と空間のかすかな記憶を思い出させる。
 http://www.ma-g.net/

■Hosoo Archive / ULTRA FACTORY Kyoto University of Art and Design  (京都)
西陣織とは京都の先染め織物のことで, 1200年前より貴族をはじめ, 武士階級, さらには裕福な町人達の圧倒的な支持を受けて育まれてきた。その流れの中で, 「細尾」は元禄年間(1688),京都西陣において大寺院御用達の織屋として創業した。「細尾」は今, 日本が誇る「帯」や「きもの」をはじめ, 世界のラグジュアリーマーケットに向けた, 西陣織による革新的なファブリックの開発に積極的に取り組んでいる。「細尾」は江戸時代に遡る織物の意匠と図案の膨大なデータベースを所有していて, 2014年から約20,000点ものアーカイブを, 京都造形芸術大学ウルトラファクトリーとの共同でデジタル化を進めている。
http://www.hosoo.co.jp/

■ラウラ・リン・ヤンセン+トマ・ヴァイリー  (デザイナー アイントホーフェン) 
ラウラ・リンはオランダ人でトマ・ヴァイリーはフランス人。2人はアイントホーフェンのデザイン・アカデミー卒業後, お互いの才能を組合せ, 制作プロセスを刷新し, 遠近法の詩的パワーを目覚めさせる作品を生み出している。鍾乳石のように成長する「CaCO3/stoneware」や, 光の秘めているカラフルな性質を探索する作品「101.86°―Color of the Day」など, 二人のコラボ・デザインの特徴は自然現象を注視することにある。彼らのプロジェクトは,自然のプロセスや現象を利用して, 素材を収集し, 作品を作り上げるこれまでにない新しい制作のあり方を示唆している。
http://www.vailly.com/

■NOSIGNER (デザイナー 横浜・京都)
ソーシャルイノベーションデザインを理念としたデザインファーム。大きな問いを見出し, 社会に必要な美しい関係性を設計できるデザイナーでありたい。そんな思いから「見えないものをデザインする人」を意味する「NOSIGNER」として, デザイン活動を続けている。グラィック・プロダクト・空間などのデザイン領域にとらわれず, ビジネスモデルの構築やブランディングを含めた総合的なデザインを手がけている。また, オープンソースデザイン,地場産業, 科学技術, 教育, サステナビリティ, 文化交流などの分野で社会に意義のあるイノベーションを生み出している。
http://nosigner.com/ja/

出展デザイナープロフィール

■大西康明 (アーティスト 大阪)
通常では空洞や余白と認識される空間を、体積・ 垂直・距離といったシンプルなテーマで視覚化させる彫刻作品を制作する。京都市立芸術大学彫刻専攻修了。日本をはじめアメリカやヨーロッパでの展覧会に参加。2011年ポーラ美術振興財団在外研修員、2010年The Pollock-Krasner Foundation。
http://www.onys.net/

■Softpad (アーティスト・デザイナー 京都)
京都を中心に活動するアート/デザインユニット。1999年結成。
インスタレーション, ライブパフォーマンス, サウンド, デザイン分野などジャンルを超えながらそれぞれのメディアの境界線と接点を探る表現活動を行う。主な展覧会,ライブイベント||「sensibilia」(滋賀県立近代美術館/2006), 「Sonar 2006」(バルセロナ/006),SonarSound Tokyo」(東京/2006), 「メディア・シティ・ソウル 2006」(ソウル市立美術館/2006), 「EXIT Festival」(Maison des Arts de Créteil, パリ/2006), 「VIA Festival」(Le Manege, モーブージュ/2007), 「dual points」(京都芸術センター/2008)
http://softpad.jp/

■Studio GGSV:ガエル・ガビエ&ステファン・ヴィラール (デザイナー パリ)
2011年にガエル・ガビエとステファン・ヴィラールの二人によって設立。2人は「Objet Trou Noir」(Black Hole)プロジェクトで2011年のVIAのカルト・ブランシュ(フランス政府によるクリエーションへの援助)を受けた。二人で協力し, 展覧会のキュレーションから研究のデザインまで広い分野で活動をしている。家具デザインの「Made in Design」, 「Petite Friture」, 「Galerie Catberro」などでも取りあげられている。また「Form follows information」(サンテチエンヌ・ビエンナーレ/2015)や「Zones de confort」(ナンシー, ギャラリー・ポアレル, ジュリエット=ポレと共同で)のキュレーターをつとめた。ステファン・ヴィラールは, ENSCI=レザトリエ(産業クリエーション国立高等学校)のプロジェクト・アトリエ「INFORME」主宰。
http://ggsv.fr/

展示デザイン/キュレーター

展示デザイン: NOSIGNER

キュレーター: ミュリエル・ラディック (キュレーター  パリ)
1968年生まれ。展覧会キュレーター, 国家公認建築士, 美学博士。サンテチエンヌ, クレルモンフェランと国立建築高等学校で教鞭をとる。2009年から2010年まで京都の国際日本文化センターの客員研究員で建築研究ネットワークJAPARCHIの会員。著書に『Traces et Fragments dans l’esthétique japonaise』(Mardaga/ 2008, フランス財団と国際交流基金の援助で出版)。主な展覧会||「Traces of Disappearance(消失の痕跡)―Eva Krausとのコラボレーション」(東京, エスパス・ルイ・ヴィトン/2014.1–4), 現代芸術とノウハウ保存の出会いをテーマにした2014年のニュイ・ブランシュ京都のゲストキュレーター。

主催、後援、協力

■主催
公益財団法人DNP文化振興財団

■後援
在日フランス大使館
アンスティチュ・フランセ日本

■協力
アンスティチュ・フランセ関西
ボロレ・ロジスティクス・ジャパン株式会社
KAIROS Art Consulting
かみ添
中京大学 大学院 情報科学研究科
Labex Arts-H2H
名古屋芸術大学
ポンピドゥー・センター
成安造形大学

会場

京都dddギャラリー
開館時間=11:00-19:00 
※10月2日(日)の特別開館・土曜は18時まで  
休館=10月2日を除く、日曜・祝日

入場無料
〒616–8533 京都府京都市右京区太秦上刑部町10
tel. 075-871-1480 / fax. 075-871-1267
地下鉄東西線 太秦天神川駅1番出口 徒歩3分、嵐電嵐山本線 嵐電天神川駅 徒歩5分、
市バス・京都バス 太秦天神川駅前下車、駐車場無